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今年最後のビッグレースが漸く終わった。疲れた脚をひきずりながらサンフランシスコの街を歩く。ダウンタウンから急坂を喘ぎながら上り、シーサイドへ。夕日が綺麗な湾を見ながらいろいろなことを考えた。

私にとって2008年は本当に思い出深い一年だった。

トレイルランニングの盛り上がりの中、今年も多くの新たなレースが開催された。私が出場したものでも志賀野反トレイルレース、おんたけウルトラ100k、菅平スカイライントレイルランレースなどがあげられる。また、「トレイルランナー鏑木毅」(出版社ランナーズ)が発行されるといった思い出い出来事があった。レースへの準備、トレイルランニングの普及のための活動など、本当にぎりぎりの毎日だった。とりわけ、仕事と競技の両立は厳しく、疲労でどうにかなりそうな中、自問自答の日々を送り続けた。こんな日々を過ごしながらも生き続けることができたのは「トレランが本当に好き」、そして「この素敵なランニングを広めたい」という思いがあったからだと思う。

いろいろのことがあったが、とりわけ印象深い出来事は「ツール・ド・モンブラン」の4位入賞だったと思う。冨士、ハセツネ、箱根など本当に今までに胸が熱くなるような感動のレースがあったが、そのどのレースよりも、シャモニのゴールは印象深かった。全く別次元の感動があった。40歳にして漸く追い求めてきたものに到達できたという感じがした。そしてレースの全てが完成された映画のように素晴らしかった。

日本に戻り、ある意味私は腑抜けになったようだ。何故かわからないが、全くレースに気がのらない自分がいた。昨年途中リタイアしたハセツネでさえそうだった。途中何故自分が奥多摩の山中を走っているのか理解できない場面が何回もあった。あれ程ハセツネ、ハセツネと情熱を燃やすことができた自分が懐かしくも感じた。こんなメンタリティーの中、最後にサンフランシスコで結果を出せたことは本当に嬉しかった。漸くモンブランの感傷から抜け出ることができたという感じがした。

2009年は一体どんな年になるのだろう。自分は本当にトレランが好きだし、そして多くのレースに出たいと思っている。ただ国内のレースで再び血が滾るような気持ちになれるのだろうか?だが燃えるような気持ちで舞台に立ちたい。そして魂を揺さぶるような感動を再び味わいたい。今はこんなことを考えている。