最後の仕事を終えようやく一年を振り返る心持になりました。
今年一年本当に多くの方々の支えがありやってこれたと痛感しています。
競技者としては7月のハードロックではまだ世界の強豪と戦える手ごたえを感じる
ことができましたが、10月レユニオンでは人生初の体のトラブルを感じ今後への
大きな不安を感じましたが、12月のTNF香港100kでの入賞で何とかその不安から抜け出すことができました。
年々競技を続ける難しさを思いさらされた一年でした。
普及者としては新しい試みを積極的に貫いた一年だったと思います。
新しいスタイルのレース、まだこのスポーツが未普及なエリアでのプロデュースにこだわりました。
関係者には多少ご迷惑をおかけした部分もあったかもしれませんが、自分らしさにこだわらせて頂きました。
また例年になく、行政的との関わりが多かった一年でもありました。
様々な講演や、委員会への出席、また非公式なかたちでの打ち合わせなどが多くあったという印象です。
何とかこのスポーツを公正明大なかたちでこのスポーツを広める難しさも痛感しました。
しかし、息つく間もなく一年が終わったという印象です・・・。
ストレスから体調を壊すこともありましたが、このプレッシャーこそ自分を高めるエネルギーと割り切り
頑張ってきたなという感じです。
また、何人かの親しい仲間が山で逝った辛い一年でもありました。
悲観的な書きようになってしましたが、どんな時も自分が愛して止まないこのスポーツに関われることに
本当に感謝しています。このことは何がなんでも忘れずに心に留めてゆきたいと思っています。
来年も自分にしかできないことへのあくなき挑戦を続けてゆきたいと思います。
とはいえ、家族との時間も大切にしたいなぁとも思っていますし、最終的には皆さんと笑顔でいろいろな場で
お会いできればそれが一番なのかなとも思っています。皆さんといろいろお話する時間が自分にとって本当に
楽しい時間と感じています。
2015年が皆さんに素敵な一年になりますように。
今年のメインレースと位置づけたグランドレイド・レユニオンは
残念ながらリタイアとなってしまいました。
日本からの多くの応援に応えることができずに本当に申し訳なく思っています。
言い訳がましくなってしまうのでこれ以上言及することはないのですが
理由はサポートのトラブルでした。
この一年これに賭けてきたのでさすがに堪えましたが
あれから5日たった今、改めて今回のチャレンジをして良かったと感じています。
2009年以来、常にレースの序盤から痛みが走った故障箇所が
4年ぶりに痛みなく走れたことが何とも嬉しく、久々に心からはじめて辿る山を走ることの喜びを感じ何とも心地よい時間でした。
それにしても凄いレースでした。
今まで見たことのないような絶景、そして何よりも160kmの様々なところで
「ジャポネ カブラキ」の声援を受け続けながら、
集落の村祭りが延々続くような熱気に溢れた盛り上がるトレイルを進む
高揚感は一体どう表現したらいいでしょうか。
想像を遥かに越えたホスピタリティーと運営レベルの高さ
そして人口80万人のレユニオン島がこのレース一色に染まるこの一週間。
夢のような大会でした。
ゴールのインタビューでお答えした「カブラキと応援してくださった全ての方のために、また再びこの地へ戻ってきたい」の言葉に添うよう
また一から精進してゆきたいです。
久々にブログ更新です。 既に一部の方にはお知らせしているのですが、
今年のUTMBはキャンセルします。ここ数年考えてきた新しいチャレンジをするためです。
確かにあの大舞台で頑張りたい、そして台頭する北米選手と一緒に走りたい
という気持ちは今でもありますが今年で45歳。
自分に現役の選手として残された時間は残念ながらそれほど多くはないということを考えると
次のステップにこのタイミングで行かざるを得ないのかなと思います。
ただ、別の仕事のためUTMB期間中にシャモニに滞在しています。
今年も多くの日本の方々が参加されます。一人でも多くの方々に応援を送るとともに、
もう一度別の面からこの大会の素晴らしさを学びたいと思います。
今は私を育ててくれたUTMBには感謝の気持ちで一杯です。
今年も世界中から集まった選手の皆さんが多くの感動を母国へ持ち帰って欲しいです。
今年も残すところ一日、原稿やらなんやらたまり
最近はパソコンとにらめっこの時間が長い・・・。
そんなこともしつつ今年はどんな一年だったのだろうとふと思い返す瞬間がある。
振りかえってみると今年も故障との闘いだった気がする年明けから新たな故障をし、治ったのは5月末。故障中の脚部を積極的に使わないトレーニングが功を奏し、故障明け1週間後の「つるぎトレイルレース」、2週間後の「奥久慈50k」で最速(※いずれも招待選手なので着外)。また「おんたけウルトラ」で100マイル14時間44分で優勝できたのは、今後の糧になるリハビリトレーニングのデータを残すことができた。
しかしながら国内レベルでは対応できるものの、急造ではUTMBのレベルでは難しかったというのが正直なところ、せめて100mileで、精神的な勝負に引き込めればと思ったが・・・。
実はUTMBではコース短縮による序盤のハイペースで普段以上に脚に負荷がかかり、その後再度の故障をお越してしまった。結局今年一年まともに走れたのは僅か3箇月だった。
しかし、この3箇月は本当に楽しかった。UTMBが刻一刻とカウントダウンされる日々のなかで、3年ぶりに痛みなく走れる喜びに浸ることができた。ある意味夢のような3箇月だった。
しかし、まだまだ諦めてはいない。応援してくれる方がいる限りは頑張りたいし、
結局そんなふうに自分と向き合っている時間が最も生きがいを感じられる。自分は結局はそういう人間なのかもしれない。
「楽しむ勇気」とは、レースの時だけのものでない。悲惨な状況でも常に前向きに考えて行こうという自分への戒めでもある。
とはいえ今年は長年の積み重ねが身を結ぶような嬉しいことがたくさんあった。
5月にUTMFの開催。東日本大震災で延期になったが、メンバー全員がそれを乗り越え、まさに一丸となってここまできたという感じだ。UTMFスタッフの一斉メールでは常に様々なことが語られる。気が重くなること、腹を抱えて笑えること、本当に様々だが、メンバー全員のこだわりがこの大会をかたちづくっているといえる。そこには単なるビッグイベント、トレイルランイベントでなく、多くの方々の人生そのものが投影できるような素敵な舞台になるような流れを真剣に日夜検討し、考え続けているという流れがしっかりと出来始めている。
そして秋に神流マウンテンラン&ウォークが総務大臣表彰を頂くことになった。
これも本当に嬉しかった。もちろんこのような表彰を目指してこの大会を実施してきた訳ではないが、トレイルランというともすると誤解が多い新しいスポーツがある意味大やけな場で社会的な役割を評価されたということは本当に大きな意味のある出来事だった。これまで携わってきた方々の熱意が身を結んだ。しかし、神流の過疎は現実な問題としてこれからも続く、今後はより踏み込んでこの問題にこのスポーツを通して関われたらと思う。
先月には「ランナーズ賞」も頂くことになった。ロードランに比べれば圧倒的にマイナーなトレイルというカテゴリーでの受賞。これも先人の方々が道をつけてきたおかげだと思う。
結局、自分一人でできたことは何もない訳で、自分自身がこの素晴らしい輪のなかで代表して評価されているというのが現実的で、ある意味心苦しい気持ちになることがある。私としてはこのような取り組みを通して、自分の人生の質を高めてくれた、たくさんの素晴らしい出会いがあったことが何より嬉しい。
年齢的な衰えこれは仕方ない。
しかし、現実を直視し、とことん頑張ってみたい。
しかし、誤解しないで欲しい、悲壮感はない。
傍から見ればどんなに悲惨な状況ととられても、トレイルランは私にとって「遊び」なのだと思う。楽しくって仕方がないもの。子供のころ放課後に気のしれた友だちと遊ぶのが待ち遠しくてワクワクしていたような心をいつまでも忘れない限りはどんなことでもできるような気がする。
来年はどんな年になるだろう。
皆さん良いお年を。
香港最大のトレイルイベント 「トレイルウォーカー香港」が昨晩終わり
現在、香港です。
何とか3位に入賞ができました。
この大会はかなりユニークなもので100kmトレイルを4名が一チームで競い、この4名が一緒にゴールしなければ完走と認められません。
このためかなりドラマチックな行程となります。
昨年に引き続き、THE NORTH FACE アジアチームで出場しましたが
今回は故障と多忙でトレーニングが満足にできずに
正直かなり不安な気持ちで一杯でした。
事前に何度か、チームをオーガナイズしているライアンに
「今回はかなり厳しい状態なのでチームを引張ってしまいかもしれない」と
伝えましたが、「とにかく楽しんで走ろうじゃないか」ということで出場を決意しました。
しかし香港という街は不思議で、摩天楼からほどないところに自然に溢れた
森が広がっています。
事前に入念な作戦会議が行われます。
補給計画やレース全体のシュミレーションを4名で共有するために
これがとても大事なものとなります。
当日、不安な気持ちでスタート。
この日は香港にしては涼しいコンディションでしたが
これがくせもので実は湿度が異常に高いため、知らず知らずのうちに
脱水状態に・・・。とにかく給水が大切。
ここ2ヶ月くらいまともなトレーニングができていなかったのでスタミナが
心配。
スタートから50kmを過ぎ、明らかに最も余裕がないのが自分と思いきや
一番軽快だったジェイ(タイ)が突然、疲労困憊の状態に
何度か嘔吐。目線がうつろ。脱水状態、ミネラル不足など様々な原因がうかび
対処。一旦は持ち直したかと思いきや今度は全身が痙攣状態に。
嘔吐するから嫌だという彼に、持っていた痙攣防止の特効薬を無理やり飲ませる。
とはいえレース中。彼に「やめよう」、「休もう」といえないのが辛い・・。
顔が土色になったジェイをロープで引きながら進みます。
彼が果たしてこの残りの数十キロの行程を持ちこたえられるかどうか心配でなりません。
これと時を同じくして
これまたかなり余裕があったはずのストン(中国)が
下りの途中で突然「あー。膝が膝が・・」と
私の経験からしてこれはまさしく脹頸靭帯炎。これがおこると
下りで冷や汗が出るほどに激痛が走ります。
すぐに痛み止めと薬で胃があれないように胃腸薬も飲ませる。
そしてCPごとにマッサージ。激痛が出るので
痛みをごまかすフォームがいかにも辛そう。
しかしジェイが最も危険な状態で最後まで心配。
「大丈夫か」、「給水しているか」、「あと少しだから」と
声を掛け合いながら一緒に進む。
みんな声には出さないが、この場にきたからには
3位以内の表彰台にあがらなければならないと思っているので
「ペースを落とそう」、「休もう」と言えないのが辛い。
具合の悪い一人をおいて行けば、レースは終わり。
このレースの難しさ。今回も身にしみました。
私も事前にロングトレーニングでできなかったため
かなり疲労しましたが、香港の景色の良いコースをかなり
楽しみむことができました。
貴重な経験でした。